チャナン / Canang

チャナン / Canang

今回は建物ではないですが、バリ島に来ると道端などで必ず見かける「チャナン」をご紹介したいと思います。

チャナンは小さな葉っぱでできた器に花や草などが入ったお供え物で、バリ人が毎日行うお祈りや宗教行事には欠かす事の出来ないアイテムです。

チャナン

チャナンの土台であるチュペールは、「体」という意味になり、普段使われるのは器が四角のチャナン・チュペール/Canang Ceperが多いです。

他にも種類が豊富で可愛いお花の形をしたチャナン・グア/Canang Guak。

土台の周りに羽のような飾りが飛び出たチャナン・ブサール/Canang besar又はチャナン・サリ/Canang Sariもあります。

チャナンはCan(チャン)とNang(ナン)という古代ジャワ語の単語で、チャンは「美しい」、ナンは「目的や意図」という意味になります。

花の配置にも意味があり、花は自分の心を表し、花の色は東西南北を守る神さまを表しているといわれます。

チャナン

【材料とその意味】

東は白い花(フランジパニ、白い蓮など)、西は黄色い花(マリーゴールドなど)。

南は赤い花(ブーゲンビリヤ、ハイビスカスなど)、そして北は黒いや青、紫の花(紫のホウセンカなど)です。

その他には、刻んだパンダンリーフ(ニオイタコノキ)は人々の知恵。

ポロサン(乾燥させたマンゴーの葉)は「ブラフマー(創造の神)」「ヴィシュヌ(維持の神)」「シヴァ(破壊の神)」の3つの神様、お香はお祈りをしていることを神様に伝えるもの。

こんな風に幅10㎝程の器の中には沢山の意味が込められており、小さな宇宙のような空間になります。

そしてこのチャナン、ほとんどは各家庭での手作りなんです。手先が器用なバリ人ならではですね!

とても可愛らしく色鮮やかで見ているだけで心が和みます。

チャナン

使う素材は全て自然からの物。市場や近所のチャナン屋などで購入します。

器になるヤシの葉。

チャナン

お母さんが家で作った手作りチャナン。

バリ人にこのチャナンを使ってお祈り時に何を祈っているのか尋ねたところ、神様へは「1日を平和に過ごし、神様に見守ってもらう」。そして神様だけでなく悪霊にも「悪さをしないでくださいね」という思いを込めているとの事でした。

またバリ人は神々がいたるとこに宿っていると考えるので、神棚から始まり、台所や、車やバイク、洗濯機など、その他には家の前の道路や交差点などにもお供えをしお祈りは生活の一部となっています。

チャナン

お祈りでは、チャナンの上に火をつけたお香を添え聖水をかけてお祈りをします。

お香の揺れる煙と匂いに包まれながらのお祈りは、不思議と神秘的な気持ちになります。

私もバリに行った際に1番にするのはオフィスのオフィスの周りへのチャナンを使ったお祈りです。

お祈りにはやり方や順番もあるのですが、難しいのでデザイナーの真似っ子をしています。

このように、バリ島では人口の9割が信仰しているとされる「バリ・ヒンドゥー教」が日々の生活に深く関わっていて、あらゆるところに神様が宿っていると言われることから「神々の住む島」と呼ばれることもあります。

パスカクのデザイナーが作成した作品にも、神様が宿ってもらえるよに丁寧に気持ちを込めて作っていきます。

神様だけではなく、それを見る人も喜ばせるお供え物チャナン。

今回はバリ人の生活に欠かすことが出来ないチャナンをご紹介しました。